恒大集団に破産宣告――中国民間企業の資金調達に暗雲

こんにちは
今日のブログは、中国金融市場がさらに混迷を深めていることについてです。

先週の金曜日(9月3日)に、ブルームバーグが、中国の主要な資金調達市場で、2017年4月以降に発行された恒大集団の社債は担保として通用していないと報道しました。

恒大集団に事実上の破産宣告

もちろん、市場で社債に担保価値があるかないかを「正式」に決めるのは、監督官庁である中国証券預託決済機構です。

ですが、現実に資金調達市場で貸し手が担保価値を認めてカネを貸してくれなければ、「こ社債に価値はない」と言われたも同然、つまり破産宣告を受けたようなものです。

この資金調達市場の動向を受けて、恒大集団のドル建て債価格はさらに急落しました。


2022年償還予定の8.25%債だけはなんとか投資家の約3分の1が無事償還できると思っているけれども、2023年以降のドル建て債については償還できると見ているのは4人に1人に過ぎないということでしょう。

この差がどこから来ているかは、同社債の今後の償還予定を見れば一目瞭然です。


2023年第2四半期(4~6月)に、ドル建て債・元建て債合わせて約55億米ドル(6000億円強)の償還が控えているのです。

償還予定がたかだか20億ドル程度にとどまっている現状で、かなり安く資産の切り売りを迫られているのですから、この55億ドルの山を越えるのは不可能に近いでしょう。

市場では、「今後の焦点は中国政府が救済に入るかどうかだ」と主張するむきもあるようです。

しかし、中国金融当局がいかに市場動向に鈍感だとしても、これだけ存続に疑問の出てきた企業を救済する気があるなら、少しでも早く実行しなければそれだけ救済費用がかさむくらいのことは、わかっているはずです。

中国政府は、明らかに恒大集団を破たんさせることによって、「おとなしく政府の言うことを聴かない企業は潰すぞ」と威嚇することを狙っているのです。いわゆる「一罰百戒」です。

中国政府は国有企業と
心中する道を選んだ

それにしても、中国華融のように国有企業であれば、既得権益集団に利権をばら撒く以外になんの経済活動もしていない企業が、国有金融機関総動員で救済されているのです。

一方、民間企業は過去にどんなに急成長の実績があっても、一歩資金繰りを誤れば、かんたんに破たんさせられてしまいます。

もっとも恒大の場合、資金繰りが苦しくなってからの「経営多角化」はめちゃくちゃで、これなら破たんに追いこまれるのも無理はないと思わせるところもありましたが。

中国で急成長中の民間大企業のほとんどが成長資金どころか、ふつうの運営資金まで海外からの投融資に頼っています。

ところが、その大事なカネづるでさえ、巨額調達をしている企業の大部分は極度に資金効率の悪い国有大企業なのです。


中国企業が発行している米ドル建て社債を買っている海外の投資家たちは、「収益性も成長性も高い民間企業の社債を買おう」と思うでしょうか? それとも「いざとなれば国が救済してくれる国有企業の社債を買おう」と思うでしょうか?

そこに、今後の中国経済の成長性がかかっているのです。

ですが、中国政府は明らかに自分のクビを絞めるような愚劣な決断を下しました

テンセントやアリババでさえ、一歩資金繰りを間違えたり、正しい習近平思想の学習を怠ったりしたら、潰されかもしれません

市場の審判が下される日は近いでしょう。

なお、中国華融をはじめとする中国国有企業のすさまじい非効率性については、拙著『米中利権超大国の崩壊』をお読みください。

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