アメリカと日本で違いがあれば、必ずアメリカの方が正しいのか?

こんばんは。

昨日お伝えした日本の個人金融資産の堅実性について、ある大学の経済学部教授が「日本の家計資産は堅実に増えているといっても、過半数が現預金で、株式投資信託合わせて10%台にとどまっている。これはアメリカと正反対で、アメリカの家計資産は株式投資信託が過半数なので、金融市場が好況であり日本より遥かに速く資産を増やしている。一見順調なようだが、アメリカの資産構成と違うのは問題だ。」と主張していました。


これはあまりにも現実を直視していない議論ではないでしょうか?

日本の個人家計資産が1990年台初めにわずかに減少しただけでその後も順調に伸びているのは、個人世帯が堅実に現預金中心の金融資産を維持してきたからこそです。



日本株は回復しきっていない

1980年台の日本の家計資産が過半数を株や投資信託に配分していたとしたら、おそらく未だに日本の家計資産は1990年の水準を回復していないでしょう。

1989年〜90年のバブル崩壊後、日本株はやっと下落幅の3分の2を回復した程度で、未だに1989年末の市場最高水準には到達していません。


個人の生活に大きな影響を及ぼす金融資産を、運が悪ければ30年たっても回復しないような市場に委ねるのはあまりにも危険です。


資産の伸び率

それと同時に、アメリカでは個人家計資産が非常に伸びているといいますが、その恩恵はほとんど全部上から10%までの世帯に集中していて、11%目〜50%目までの世帯では、ほんのすこしおすそわけを頂戴しているに過ぎません。

下から半分の世帯は、全くと言っていいほど家計資産が増えず、むしろジリ貧です。


何故そうなるのか。

もともと資産規模の小さい経済的に恵まれていない世帯ほど、株や投資信託に依存した金融資産構成になっていると、一回の暴落で取り戻すことができないほどの打撃を受け、そのまま貧困になってしまうことが多く、何度かの暴落をうまくやり過ごすことができるのは、もともと資産規模の大きい金持ちに限定されるからです。


「貯蓄から投資へ」という罠

そもそも個人世帯で、株や投資信託を運用して順調に資産規模を拡大できる人たちは、ほぼ確実に10年に一度はやってくる暴落をやり過ごすことができるような大きな資産を持って出発した人たちなのです。

貯蓄から投資へというスローガンに乗せられて、自分の資産をリスクの大きな運用で速く拡大しようとするのは決してお勧めできるスタンスではありません。





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