電力自由化のまやかし

電力供給を不安定にして得をする人はいない!


今日は、電力供給の自由化と再生可能エネルギーの問題点について話そう。


 日本でも徐々に浸透しつつある電力自由化だが、去年の秋から今年の3月にかけ、カリフォルニアの山火事の頻発、ドイツの太陽光発電の激減、テキサスで凍死者が出るほどの寒波襲来と電力供給の途絶などさまざまな電力をめぐる問題が続出した。

私は電力自由化について基本的には賛成だが、問題の核心は電力供給が自由か制限されているかには無く、太陽光や風力という自然現象への依存度が大きすぎて安定供給ができないエネルギーに依存しすぎるところにあると考えている。



カリフォルニアの例

去年の秋山火事被害が拡大したのは、決して例年に比べ山火事の発生件数が多かったわけではない。ただ、一件あたりの延焼面積が広がって被害が拡大してしまった。

なぜかといえば、太陽光発電の発電量が想定通りに拡大せず、計画停電をしなければ重要が供給を大幅に超過してしまうほど発電量が低かったために、消防車は現場に駆けつけても放水をするための電力量が足りず効果な消化活動ができなかった。


ドイツの例

カリフォルニア州同様に太陽光発電を推進しているが、去年の暮れから今年の初めにかけ、極端に寒く太陽が照らない日が続き太陽光発電量はゼロに近いまでに激減していた。


テキサスの例

総発電量の30%近くを風力発電に頼るという電源構成になっていたが、去年の暮れから今年の三月にかけては風力発電の発電量が例年の半分以下に留まったために、広域で停電が起きたり、計画的な停電によって需要を調整する必要が生じた。

そこで被害を拡大したのは、電力小売業者が卸売価格の変動に合わせ、小売価格も変動する契約を消費者に勧めていたため、突然の電力供給量激減で電力料金が例年の何十倍、時には百数十倍という異常な価格になってしまった事だ。

そして、いつまで待っても復旧しない電力供給をゆり椅子に座りながら待ち、凍えて亡くなってしまった人さえいる。


二酸化炭素排出量ゼロと謳われる電力の問題点


  1. 人類は太陽の光や風の力を自由に操作できるわけではないのに、太陽光や風力発電で安定供給ができるという幻想に陥っていること。

     2.  その結果、従来のように電力供給が地域独占で非効率になっているわけではないけれど、発電量そのものをコントロールできない事によって、地域によっては計画停電をしたり、突然の需要拡大で全面的な意図せざる停電が起きていること。

    3.   結果として、個人世帯の電力料金がテキサスの事例でいえば日本円で月に数百万円になり、電力料金を払えない個人世帯が続出し、電力小売業者が倒産、破綻したりしている。


    4.   かなり昔に地域独占電力を廃止したアメリカについていえば、テキサスでは卸売電力はほぼercotという電力安定供給協議会という事実上の独占業者に握られている。小売段階でどんなに自由化を進めても、本当の意味で安く安定した電力供給ができるはずのない仕組みになっている。

選択肢が増えてくれれば大歓迎だが、現状はまるで自由ではない。

この独占卸売業者が自然に依存したエネルギーを使い続ければ、個人世帯や電力小売業者は突然の供給量激減リスクに常にさらされることになる。




これらの問題を解決するには


自然に依存せず、供給量を拡大できる通常火力発電を増やすべきである。

通常火力発電の中でも、有害廃棄物が少なく、二酸化炭素排出量も少ない天然ガス発電を最大限活用すべきだ。

  



結び

日本でも最近太陽光・風力発電を推進している人々がいるが、まだ全体を占めるパーセンテージは低いので、電力料金の暴騰は滅多に起きていない。

自然に依存した電力というのは、メリットよりデメリットが遥かに大きい。電力は、安定的に供給できなければ現代の日常生活を維持することができない重要な生活インフラなのである。推進派の方々には、自然に依存した発電法の弊害について、真剣に検討していただきたい。

そして、諸外国の問題からはしっかり目を背けずに、悪いところは見習わないでほしいと思う。


コメント